#過去
今日だけではなく
あの日も 小鳥は囀り
空は明るく 晴れていたのでしょう
#告白
置き去りにされた 空き缶の横に、
小さく彫られた落書きがありました。
何時書かれたか定かではない それは、
少し彫りが薄れて 影を潜めていました。
夕焼けが綺麗です。
貴方も何処か、この太陽の下にいるのでしょうか。
そして、言葉を刻んだ彼女は、
今でも 彼の事を思い続けているのでしょうか。
#ブランコ
ブランコ 揺れる 揺れる
僕は傘をさして 揺れる 揺れる
(傘の隅から 水滴が堕ちて)
透明な水滴は 揺れる 堕ちる
(そのうち 僕の足が バタバタし始めて)
僕の足が 揺れる 揺れる
揺れる 堕
ち
る
#導き
天から降り注いだ雨は
光を吸い込んで
とても奇麗に 地上に落下する
あまりの美しさに
僕も吸い込まれそうになって
ずっとそれを見ていたかった
#碧い空
碧い空が浮かびました。
でも、それは余りにも綺麗で
余りにも眩しくて
私はただ 目を逸らコトしか出来ませんでした。
#立志
あと何分かで 電車は来ると言うのに
駅のホームには 人は疎らで
…遠くで遮断機の降りる音
少し風が吹いて 僕よりも先に目的地に向かう
風を見送って 髪が静かに肩を撫でると
電車が入ってくるところだった
僕の前で扉が開くと
僕は静かに足を進めた
#終わり
この空がいつか堕ちて
君の上に降りそそいだ時は
君はきっと笑顔で 受け入れるだろう
それが絶望と知っていても
君はどこまでも笑顔で 最後まで笑顔で
#君の散在
突然降り始めた雨に
君は少しおどろきながら
家路をいそぐ鳥達を見て 少し目を細めた
なんて事もない風景に 僕は幸せを感じられる
そんな自分にさせてくれたのは
君がとなりにいてくれたから
辺りに薄い光が刺し
静かに雨は上がった
青空が覗き出す頃には
日陰とアスファルトの焼けた匂いが
涼しく僕等を包み込む
#エキストラ
動かずに見つめていれば 私はただの景色の一部
前を向いて歩いていれば 私はただの人混みの一部
口をパクパク喋っていれば 私はただの雑踏の一部
ニコニコ笑って泣かずにいれば 私は幸せな人人の一部
きっと ただそれだけ。
#君の振幅
見えないものだから
少しでも形にしようとする
「形なんていらないよ」
なんて言ってはみても
形にしないと繋ぎ止めれそうもないから ちょっと悪足掻き
形になったら いつか壊れてしまうのに
形がなかったら 壊れたことに 気付かずにいられるのに?
#楼閣
首筋が 冷たい と気付いたのは
涙が流れていたからでした
暗くロッカーが立ち並ぶ中で
希望を見つけたはずなのに
なぜ私は涙を流すのでしょう
#すべて
目に見えるものが 全てじゃない
そんな言葉よく聞くでしょ?
確かにその通りだけど
実際に目に見えているものより
自分の信じるものが
真実であり
「すべて」なんだよ
#広がる空
同じ空の下にいるんだから
そう言ってくれたけど
どこまでも青く広がる空の下
こんなにも遠いのは何故だろう
#梅雨空
雨が降ってる
しとしと しとしと
しずくが泣く
灰色の雲は静かに空を這う
空は雲に隠れて休憩中
空も雲も他人ごとのように
堕ちるしずくもかまわない
しとしと しとしと
今日も泣く
しとしと しとしと
もうすぐ梅雨がくる
#渇望
気付けば ひとり 空の下
両手には守るものもなくて
手放しで喜ぶ僕は なに?
自分を貫くなんて大層なものはない
それを理由に 差し出された手を
振りはらい 見ないように ここまで来た
大切な思いほどわからない
わからないから怖い
だから必死に逃げてきた
未だに怖いから
もう逃げ続けてみようかな なんて思う
だから 僕は ひとり
のびのびと ひとり
青空と ひとり
#琴線が振れた時
こんなずるい私に
神様は 理由すら与えてくれない。
生きることが
こんなにも 無意味に つらい ものだと知らなかった。
#自殺風
今日もふらふらと 流され流れて 駅のホーム
伸びやかな空の青を 今日という日を尊く思う情景を
ただ静かに待つ
ふと浮かぶ 薄い雲がとても純粋に見えた
自由になれるかも感じたとき
気持ちのいい初夏の風に背中を押された
#扉の向こう
ついに来た。
何も感じない世界が。
ついに来た。
一人でも淋しくない世界が。
ついに来た。
心配などない世界が。
ついに来た。
もう何もかんがえなくていい世界が。